地域公共交通のあるべき補助方式への一考察――赤字補填からの脱却の主張に着目して

論説
論説

2023年6月3日(土)に福岡大学七隈キャンパスで開催された第67回土木計画学研究発表会・春大会(自由投稿型)で何玏(芝浦工業大学)・永田右京(慶應義塾大学)・楽奕平(芝浦工業大学)が行った標記研究発表の資料を紹介します。

地方部では,公共交通の不採算化が進行しており,多くの公共交通サービスが国・地方自治体の公的補助によって確保されている.こうした補助金付きサービスに対しては,「補助が赤字補填となっており,事業改善インセンティブを削いでいる」という指摘が多数の機関・論者からなされている.本研究は,学説と日本の行政実務から公的補助の方法には「総費用契約,事後欠損補助,純費用契約」とが見出せることを指摘し,それに照らして近年の「赤字補填批判」が総費用契約と事後欠損補助を区別していない問題があることを明らかにした.規制緩和後は事後欠損補助の存在意義が失われており,国庫補助制度の改善が遅れたことを指摘した.

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