モビリティという言葉の意味

地域公共交通の学説
地域公共交通の学説

モビリティという言葉が流行していますが、本来の意味はなんでしょうか。

流行語としてのモビリティ

新谷洋二・原田昇2017『都市交通計画(第3版)』は137ページで、「モビリティという単語は、もともとは移動の可能性の概念を表す単語だが、ここでは移動の道具を表すがごとく用いられている」と指摘しています。

中村は、交通具の意味でモビリティという言葉を用いるのは混乱の元で、それらは「モビリティ・ツール」と呼ぶべきだと指摘しています。

https://wwwtb.mlit.go.jp/chubu/tsukuro/symposium/pdf/R1/kichou.pdf

学術用語としてのモビリティの定義とは

アクセシビリティはモビリティを包括する上位概念だということで共通しているようです。

中島直人らによる説明

モビリティとアクセシビリティ

本章の副題にある「都市の機能と暮らしを支える」ことを考える上で、政策目標概念としての「モビリティ」と「アクセシビリティ」が大事である。モビリティとは「人の移動のしやすさ」を指す。例えば、足の不自由な人より健常者、自由に使える自動車を持たない人より持つ人、公共交通の不便な地域の住民より便利な地域の住民の方が、それぞれモビリティが高いと一般には解釈される。アクセシビリティとはもともと「ある特定の場所への到達しやすさ」のことであるが、より拡張して「ある種類の活動を行う場所への到達しやすさ」や「ある種類の活動の実行しやすさ」をも含む。特定の「〇〇内科医院への到達しやすさ」から「内科の診療を受けられる医療機関への到達しやすさ」、「内科の診療の受けやすさ」まで含まれうると考えれば良い。モビリティは移動の目的地を特定せずに定義される概念であるが、アクセシビリティは目的地(活動機会)の分布を特定しなければ定義できない。例えば、道路整備の効果を「混雑が緩和した」とか「30分で行ける範囲が広がった」という側面で捉えればそれはモビリティの向上であり、「30分以内で総合病院に到達できるようになった」と捉えればアクセシビリティの向上である。これらを維持し高めることは都市交通計画の重要な目標である。図2・2に示すようにモビリティは個人特性、居住地特性、制度その他の影響を受けるとともに、アクセシビリティに影響を及ぼす。しかしアクセシビリティには活動機会の分布も影響するため、モビリティが高ければアクセシビリティが高いとは限らないことに留意を要する。

――中島直人ら2018『都市計画学 変化に対応するプランニング』49ページ

喜多秀行による説明

3) モビリティとアクセシビリティ

モビリティは、人が身体的に移動する能力のことを指すアクセシビリティの定義はいくつか存在するが、文献51を参考にして、“自ら欲する財・サービスや活動機会を獲得するための潜在的能力”であると定義すると、アクセシビリティは、上述の”モビリティ”、御用聞きや電話等による注文・配達サービス、移動販売といった”モビリティ代替手段”、サービスの提供場所を規定する”土地利用”、運賃や安全性といった”アクセスの質”などの概念を包含すると考えられる。活動機会の獲得可能地点へのアクセシビリティは、モビリティの増大、あるいは獲得可能地点との近接立地や獲得可能地点数の増加により向上するが、獲得可能地点が遠隔地にしか存在しない場合はモビリティのみが増大してもアクセシビリティはあまり向上しない。

――喜多秀行2011「地域公共交通計画と移動権」(交通工学46(4))

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